音声配信がブームになりつつあります。
ラジオアプリ「radiko」の月間ユーザー数は約1,000万人に届きそうな勢い。
海外では定着してきているPodcastは、日本でも急速に広まってきています。
Voicyやstand.fmなど「独立配信系」と言われる音声メディアもユーザーを伸ばしています。
「ラジオは時代おくれ」と言われたこともありました。
それなのに、なぜいま音声配信のユーザーが増えているのでしょうか?
音声配信の概要をサクッと知りたい方は、まとめ記事からどうぞ。
音声配信ブーム?
本当に音声配信がブームなの?
そんなに流行っている感じないけど
アプリ分析ツール「App Ape」によると、Google Podcastのアクティブユーザー数は1年で9倍になっているデータが紹介されています。
音声配信サービスのstand.fmでは、ダウンロード数もアクティブユーザー数も2020年の4〜5月に倍増しています。
2020年6月以降のデータはまだ出ていませんが、それ以上の勢いで増えていた印象があります。(ぼくは音声配信が好きなのでいろんなサービスをチェックしている)
音声メディアはこれからもっと伸びる!?
確かにYouTubeなどの動画メディアと比べると、まだまだ音声メディアは目立たない存在です。
しかし、音声配信は「他のメディアと違う消費をされている」という特徴があります。
後述しますが、音声が生活に入り込む余地はまだまだ残されています。
重要なポイントは、「目が忙しい現代人の生活に音声メディアがマッチすることがわかってきた」ということです。
日本だとまだピンと来ないかもしれませんが、世界では既に「音声ブーム」が来ています。
例えば、アメリカではPodcast(インターネットに音声を配信する仕み)が人気です。月に1回以上音声配信を聴いていると答えた人は人口の約4割というデータがあります。
参照記事:オトナル
4割はスゴイね。テレビと変わらないくらいってこと?
アメリカだけでなく、中国も音声配信が若者を中心に広まっています。
最近では、日本も音声配信ユーザーが年々増加傾向にある印象です。
参考記事:日経クロストレンド
参考記事:日経Xtech
日本の場合はPodcastだけではなく、VoicyやRadioTalk、stand.fmといった「独立系アプリ」のユーザーが多いのが特徴的です。
音声が人気の理由
音声配信が人気なのは分かった。
でも、なんでなんだろう?
確かに、いまさら音声のみのプラットフォームに注目が集まるというのはちょっと意外な気もします。
ぼくが思う理由は、大きく分けて2つあると思います。
- 「読む」から「聴く」へのシフトが起こっている
- 「耳からインプット」のメリット
「読む」から「聴く」へのシフト
まず一つが情報摂取の手段の変化です。
本やブログなど「読むメディア」からラジオや音声などの「聴くメディア」へのシフトが起こっている気がします。
今まではテレビや動画など「見るメディア」が強かったです。
「読む」は疲れる行為である
- 読書<テレビ
- ブログ<動画
文字を読むというのは、日本人であれば当たり前にできる行為です。
しかし、長い文章をちゃんと理解するのはけっこうホネが折れる行為でもあったりします。
「なるべくラクな手段で情報を摂取したい」というのは人間の自然な欲求だと思います。
食べ物に例えると「硬い肉や骨が多い魚は食べるのが面倒なので、よりラクに食べれるソーセージや柔らかいパンが好かれる」というのと似ています。
動画と共存できるメディア
音声を聴くのは本を読むよりラクなのはあると思う。
でも動画にはかなわないんじゃない?
映像があったほうが分かりやすいものね。
YouTubeを見るようになった理由もそれよね。
現在、ネットコンテンツの王者は動画です。
映像も含めた情報を届けられる動画コンテンツが、最も多くの人に受け入れられるのは間違いありません。
でも、音声にも入り込む余地があります。
実は、音声コンテンツは「目を使うメディア」とは競合しません。
「ながら聴き」がメインの使い方である音声は、動画とは土俵が違うのです。
動画のユーザーを奪い合うのではなく、共存していくはずです。
耳からインプットするメリット
音声の良さってなんだろう?
音声コンテンツが持っている、他のメディアにはない強みの一つは「学びに向いている」ことです。
「耳からのインプット」は、勉強に使うと効果的です。
理由はやはり「ながら聴き」できるからです。
- 家事をしながら
- 運転をしながら
- ジョギングをしながら
など。忙しい現代人には「何かをしながら耳で情報を得る」という方法がとても便利なのです。
忙しい現代人は常に情報を求めています。
とはいえ時間は有限ですし、社会人にはそれほど自由時間もありません
でも何かを(できれば質の高い有益な情報を)インプットしたい。
そんなとき、何かをしながら聴ける音声は忙しい現代人にピッタリなのです。
「目の可処分時間(自由に使える時間)」はもうほとんど既存のメディア(テレビ、スマホ、YouTubeなど)に取られています。
でも、「耳の可処分時間」には、まだまだ空きがあるのです。
そこにピッタリ入るコンテンツこそが、「音声配信」なのです。
実際に管理人もたくさん音声コンテンツを聴きますが(1日5~6時間は聴いています)そのすべては「ながら聴き」です。
目が疲れない
これも可処分時間と近いものがありますが、目の疲れは現代のほとんどすべての人が直面している問題です。
現代人は目を酷使しています。
- 仕事でPCモニターとにらめっこ
- 通勤時間やスキマ時間はスマホを見る
- 家に帰ったらテレビやネット(YouTubeやネットフリックス)を見る
退屈はしないかもしれませんが、間違いなく目は疲れます。
そういう意味でも「眼を使わずに楽しめる」音声メディアは、現代のニーズに合っているのではないでしょうか。
画面をみることなく、楽しめる音声メディア。
音声独自の強み
勉強に向いている(耳からの方が頭に入りやすい)
音声コンテンツにも様々なジャンルがあります。
動画メディア(YouTubeやTikTok)と比べるとエンタメ要素の少ないコンテンツも人気がある印象があります。
もちろん笑えたり楽しい音声もたくさんありますが、同じくらい「学び系コンテンツ」の配信も多く、人気も高いです。
- 雑学系
- 英会話など外国語学習
- 歴史専門チャンネル
- ビジネス系
一概には言えませんが、今のところ日本では比較的年齢とリテラシー(識字能力)の高い人たちが音声コンテンツに馴染んでいる印象があります。
ワイヤレスイヤホンの普及
もうひとつ、大きな要因がワイヤレスイヤホン。高品質で低価格なワイヤレスイヤホンが普及したおかげで、人々はいつでもどこでも音声を楽しむことができるようになりました。
- 電車やバスの中でも
- 家族と同居している家でも
- 朝でも夜中でも
つまり、いくら音声メディアが充実しても、聴ける環境がなければそれほど多くの人には受け入れられません。
特に、今のところ音声コンテンツの主な利用層である20代~30代の人たちの多くは、家でも外(電車とか)でも周囲に誰かいる状態がほとんどです。
その状態で例えばスピーカーから音声を聞いていたら、他の人の迷惑になります。
その点、イヤホンをすれば解決します。
「声が持つ独自の温かみ」
音声配信が広がっている理由のひとつとして「声の持つ温かみ」が再発見されているのではないかと思います。
声にしかない、独自の特徴として
- 感情が込めやすい
- 個性が出る
- 声は親しみを持ちやすい
などがあります。
未来は様々なものが音声に換わる?
音声コンテンツがこの先さらに広まる原因となるであろうひとつに、「行為の音声化」があります。
行為の音声化とは、今までは別の手段で行っていた行為が、テクノロジーの進化によって音声に変わっていくことです。
例えば…
- 音声検索
- リモコン
- SNS
音声検索
音声検索は、今までテキストで入力していたキーワードを音声入力にすること。
これはもうすでに一般化していますね。
「OKグーグル、明日の天気を教えて」
「Hey シリ、RadioTalkについて調べて」
など、スマホやタブレットから検索するとき、わざわざテキストで入力せずに音声で呼びかける人も増えてきた印象があります。
これにはデバイス側の音声認識の能力の向上によるところも大きいです。今や、けっこうボソボソと喋っても機械はちゃんと認識してくれます。
音声リモコン
アレクサ(Amazon Echo)やGoogle Home(グーグルホーム)といった「スマートスピーカー(AIを搭載したスピーカーのこと)」が普及してきました。
スマートスピーカーは音楽やニュースを聴くほかに「家電の操作」も得意としています。
「リビングの灯りをつけて」
「寝室のエアコンを消して」
「テレビつけて」
など、様々な家電が既にスマートホーム対応になっています。
現在はまだ使っている人は少ないですが、(対応の機種自体まだ少ない)これからはスマートホーム化が当たり前になっていくと言われています。
音声SNS
今やほとんどすべての人が何かしらのSNSを使っています。
- LINE
上記のうちInstagram以外はすべて「テキストベースのSNS」です。
テキストでメッセージや情報を投稿したり読んだりするのがメイン(動画投稿もできる)
インスタは写真と動画。
TIKTOKも動画
そして、次に来るSNSは何だと思いますか?
以外に思われるかもしれませんが、次のSNSは「音声」だと言われています。
事実、テクノロジーの最先端を行くアメリカのシリコンバレーでは、今まさに音声チャットが流行しています。
clubhouseはまだ新しいモノ好きたちのツールの段階です。
しかし、この流れは確実に広がってくると思えます。
音声の可能性が再発見されている!
あとで追記します。
ながら聞きがメインという音声は、実は他のメディアとバッティングしないのです。つまり、音声と動画では土俵が違うのです。YouTubeがどれだけ市民権を得たとしても、音声が生活に入り込む余地はじゅうぶんに残されているのです。
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